“e”はなぜついているか
日本製を含めほとんどのウイスキーの綴りは"whisky”です。ところがバーボンだけは“whiskey”と“e”が付いています。これはアメリカ移民の歴史と深く関わっています。
アメリカ大陸発見後まず移民を開始したのはイギリスからの清教徒でした。18世紀になるとスコットランド人やアイルランド人も渡ってきましたが、清教徒たちは宗派の違う彼らと同じ土地に住むことを嫌いました。そこでスコットランド人やアイルランド人は清教徒たちの住んでいた東海岸から西部へと移り住んで開拓民となりました。
その中では特に北アイルランド系の人が多く、エライジャ・クレイグの発明のもと積極的にウイスキーの蒸留を始めました。彼らの故国ではウイスキーのことをウイスケ(hwiske)と呼んで綴っていたため、バーボンウイスキーには"e"が付いたと言われています。
このためバーボンのほかアイリッシュウイスキーも"e"が付いています。中にはアーリー・タイムスやメーカーズ・マークのように"e"の付かないバーボンもありますが、これは蒸留元がスコットランド系ではないかと思われます。
「中にはアーリー・タイムスやメーカーズ・マークのように"e"の付かないバーボンもありますが、これは蒸留元がスコットランド系ではないかと思われます」ということですが、私が、メーカーズ・マークの広報に「創業者がスコットランド系なのか」と訊ねると「その通りです。Missing "e" についてそういう質問を良く受けますが、貴方の推察の通りの答えをしています」と回答がありました。
私は、バーズタウンに暮らしていたことがあり、メーカーズ・マーク社も訪問しました。ラベル貼りの工程で、壜に貼り付ける前のラベルを記念にくれないかと言ったら、気前良く何枚かくれました。