フィリップ・マーロウとギムレット
「ギムレットにはまだ早すぎるね。」
このあまりにも有名な言葉は、レイモンド・チャンドラーが世に送り出した私立探偵フィリップ・マーロウの言葉として多くのマスコミ媒体に登場しています。しかし真実は違う!!のです。
この台詞は、チャンドラーの不滅の名作「長いお別れ(The Long Goodbye)」のラストシーンに出てくるものです。しかしこれは、事件に巻き込まれて死んだと思っていたマーロウのかつての親友テリー・レノックスが、事件解決後にマーロウの事務所を訪れた時に、初めは当人と気付かなかったマーロウが次第に察してきた様子に対して、かつてよく一緒に飲んだギムレットを引き合いに出したものなのです。
それをどう取り違えたか、どの雑誌、どのテレビ番組でもマーロウの言葉として引用されています。恐らくちょっとした訳知りの一つのミスをろくに検証もせずに流用したのでしょう。ともかくこのページを見た皆さんにはぜひ真実をわかってもらいたく、あえて説明しました。でも 、世の中にこういうことってたくさんあるのでしょうね。
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