日本のウイスキーとの違い
世に5大ウイスキーというのがあります。スコッチウイスキー、アイリッシュウイスキー、カナディアンウイスキー、ジャパニーズウイスキー、そしてバーボンウイスキーです。よく「好きなお酒は何?」と聞かれて「バーボンです。」と答えると「ウイスキーはどう?」なんて聞かれますがバーボンはウイスキーの一種です。そのバーボンには以下のような定義があります。
1.原料の51%以上80%以下がとうもろこしであること。
2.連続式蒸留機で80プルーフ以上、160プルーフ以下で蒸留すること。
3.内側を焦がしたホワイトオークの新樽で2年以上貯蔵すること。
4.標準強度は125プルーフ以下とすること。
プルーフとはアルコール度数のことで、その半分の数字が%となります。従ってよく出回っている80プルーフのバーボンは40度のことで、ほかのウイスキーともほぼ同じです。
「バーボン」の名前は、西部開拓者たちが売れ残った穀物の処理としてウイスキーを造りはじめた土地のケンタッキー州バーボン郡に由来します。この土地はアメリカ独立戦争に協力したフランス軍に感謝の意を表してフランス王朝の「ブルボン」の名が付けられました。ですからバーボンの綴りはブルボン(Bourbon)と同じです。
最初にバーボンを作った人
諸説紛々ありますが
ここでは諸説ある中で最も有力とされているものを挙げておきます。
1789年、スコットランド系移民の牧師エライジャ・クレイグが、生計の足しにと造っていたウイスキーの倉庫が火事に遭い、使っていた樽が焦げてしまいました。新品の樽を調達する資金もなく仕方なしに焦げた樽を使い続けたところ、偶然に芳醇な香りとマイルドな味わい、そして美しい琥珀色のウイスキーに仕上がりました。これ以降バーボン造りには焦げた樽を使用することが定着しました。
このバーボンの父“エライジャ・クレイグ”の名は現在でも銘柄のひとつとして残っています。
ここでは諸説ある中で最も有力とされているものを挙げておきます。
1789年、スコットランド系移民の牧師エライジャ・クレイグが、生計の足しにと造っていたウイスキーの倉庫が火事に遭い、使っていた樽が焦げてしまいました。新品の樽を調達する資金もなく仕方なしに焦げた樽を使い続けたところ、偶然に芳醇な香りとマイルドな味わい、そして美しい琥珀色のウイスキーに仕上がりました。これ以降バーボン造りには焦げた樽を使用することが定着しました。
このバーボンの父“エライジャ・クレイグ”の名は現在でも銘柄のひとつとして残っています。
WhiskyとWhiskey
“e”はなぜついているか
日本製を含めほとんどのウイスキーの綴りは"whisky”です。ところがバーボンだけは“whiskey”と“e”が付いています。これはアメリカ移民の歴史と深く関わっています。
アメリカ大陸発見後まず移民を開始したのはイギリスからの清教徒でした。18世紀になるとスコットランド人やアイルランド人も渡ってきましたが、清教徒たちは宗派の違う彼らと同じ土地に住むことを嫌いました。そこでスコットランド人やアイルランド人は清教徒たちの住んでいた東海岸から西部へと移り住んで開拓民となりました。
その中では特に北アイルランド系の人が多く、エライジャ・クレイグの発明のもと積極的にウイスキーの蒸留を始めました。彼らの故国ではウイスキーのことをウイスケ(hwiske)と呼んで綴っていたため、バーボンウイスキーには"e"が付いたと言われています。
このためバーボンのほかアイリッシュウイスキーも"e"が付いています。中にはアーリー・タイムスやメーカーズ・マークのように"e"の付かないバーボンもありますが、これは蒸留元がスコットランド系ではないかと思われます。
日本製を含めほとんどのウイスキーの綴りは"whisky”です。ところがバーボンだけは“whiskey”と“e”が付いています。これはアメリカ移民の歴史と深く関わっています。
アメリカ大陸発見後まず移民を開始したのはイギリスからの清教徒でした。18世紀になるとスコットランド人やアイルランド人も渡ってきましたが、清教徒たちは宗派の違う彼らと同じ土地に住むことを嫌いました。そこでスコットランド人やアイルランド人は清教徒たちの住んでいた東海岸から西部へと移り住んで開拓民となりました。
その中では特に北アイルランド系の人が多く、エライジャ・クレイグの発明のもと積極的にウイスキーの蒸留を始めました。彼らの故国ではウイスキーのことをウイスケ(hwiske)と呼んで綴っていたため、バーボンウイスキーには"e"が付いたと言われています。
このためバーボンのほかアイリッシュウイスキーも"e"が付いています。中にはアーリー・タイムスやメーカーズ・マークのように"e"の付かないバーボンもありますが、これは蒸留元がスコットランド系ではないかと思われます。
バーボンに似て非なるもの
ジャック・ダニエルはバーボンじゃない?
日本でも有名なジャック・ダニエルのラベルにはどこにも"BOURBON"の文字がありません。これは 、バーボンとは基本的にはケンタッキー州で造られたものであるからであり、このことは合衆国特許局に正式登録されています。
ジャック・ダニエルをバーボンと呼ばずにテネシー・ウイスキーというもう一つの理由は、「チャコール・メロウイング」という独特の濾過工程が加わっていることにあります。ケンタッキー州のバーボンが樽熟成の後に濾過をするのに対して、テネシー・ウイスキーは樽に詰める前にも木炭層による濾過が行われます。テネシーっ子が「バーボンよりも格が上」とプライドを持っているのはこのためで、決して"BOURBON"という表示をしません。
なおこのジャック・ダニエルも連邦アルコール法によれば原料・製法などの点で紛れもないバーボンです。現在アメリカではケンタッキー、テネシーを含め全部で9つの州でバーボンを製造しています。
日本でも有名なジャック・ダニエルのラベルにはどこにも"BOURBON"の文字がありません。これは 、バーボンとは基本的にはケンタッキー州で造られたものであるからであり、このことは合衆国特許局に正式登録されています。
ジャック・ダニエルをバーボンと呼ばずにテネシー・ウイスキーというもう一つの理由は、「チャコール・メロウイング」という独特の濾過工程が加わっていることにあります。ケンタッキー州のバーボンが樽熟成の後に濾過をするのに対して、テネシー・ウイスキーは樽に詰める前にも木炭層による濾過が行われます。テネシーっ子が「バーボンよりも格が上」とプライドを持っているのはこのためで、決して"BOURBON"という表示をしません。
なおこのジャック・ダニエルも連邦アルコール法によれば原料・製法などの点で紛れもないバーボンです。現在アメリカではケンタッキー、テネシーを含め全部で9つの州でバーボンを製造しています。
バーボンの製法あれこれ
作り方で味が違うか
バーボンの発酵法には2種類あります。
1.スイート・マッシュ法
糖化液(マッシュ=mash)に純粋培養の酵母を加えて行う方法。発酵時間は36から50時間。
2.サワー・マッシュ法
糖化液に少量の培養酵母を加えた後、前回の発酵液(ウォッシュ=wash)を最低 1/3くらい加えてゆっくりと時間をかけて発酵させる方法。発酵時間は72から96時間で、スイート・マッシュに比べてより風味のある和らいだ味に仕上げます。この方法を発明したのはオールド・クロウの生みの親、ジェームズ・クロウと言われています。
バーボンの発酵法には2種類あります。
1.スイート・マッシュ法
糖化液(マッシュ=mash)に純粋培養の酵母を加えて行う方法。発酵時間は36から50時間。
2.サワー・マッシュ法
糖化液に少量の培養酵母を加えた後、前回の発酵液(ウォッシュ=wash)を最低 1/3くらい加えてゆっくりと時間をかけて発酵させる方法。発酵時間は72から96時間で、スイート・マッシュに比べてより風味のある和らいだ味に仕上げます。この方法を発明したのはオールド・クロウの生みの親、ジェームズ・クロウと言われています。
アメリカ大統領とバーボン
英雄酒を好む
初代大統領ワシントンは自宅にバーボン蒸留機を備え、晩年にはそれで作ったバーボンを販売していたと言われています。
16代大統領リンカーンは南北戦争当時、「北軍司令官グラント将軍が酒を飲み過ぎて困る」という部下の意見に、「彼の飲んでいる銘柄を教えてほしい」と答えたと言われています。後に調べたらそれはオールド・クロウでした。
32代大統領ルーズベルトはジャック・ダニエルを好んで飲んだと言われています。
34代大統領アイゼンハワーはワイルド・ターキーをこよなく愛したと言われています。
余談ですが、イギリスのチャーチル首相は大のドライマティーニ好きで、ベルモットの瓶を眺めながらジンのストレートを飲んだと言われています。さながら梅干しを見ながらご飯ですね。
初代大統領ワシントンは自宅にバーボン蒸留機を備え、晩年にはそれで作ったバーボンを販売していたと言われています。
16代大統領リンカーンは南北戦争当時、「北軍司令官グラント将軍が酒を飲み過ぎて困る」という部下の意見に、「彼の飲んでいる銘柄を教えてほしい」と答えたと言われています。後に調べたらそれはオールド・クロウでした。
32代大統領ルーズベルトはジャック・ダニエルを好んで飲んだと言われています。
34代大統領アイゼンハワーはワイルド・ターキーをこよなく愛したと言われています。
余談ですが、イギリスのチャーチル首相は大のドライマティーニ好きで、ベルモットの瓶を眺めながらジンのストレートを飲んだと言われています。さながら梅干しを見ながらご飯ですね。
バーボン相場情報
どの銘柄がいくらなら”買い”か
「たまにはバーボンでも買うか」と思ってみても、どれがグレードが高くてどれがそうでないかは意外とわからないものです。そこで、かつては3日で1本の消費家であった私が独断と偏見で、どの銘柄がいくらぐらいならお買得なのかという大まかな目安を、現在流通している代表的な10銘柄について挙げておきます。なお、特に断りのない銘柄はスタンダードものです。
Blanton 2,680円
Early Times 1,180円
Elijah Craig 2,080円
Four Roses 1,180円
I.W. Harper 1,680円
Jack Daniel 1,780円
Jim Beam 1,180円
Maker's Mark 2,080円
Old Grand Dad 114 2,680円
Wild Turkey 1,680円
「たまにはバーボンでも買うか」と思ってみても、どれがグレードが高くてどれがそうでないかは意外とわからないものです。そこで、かつては3日で1本の消費家であった私が独断と偏見で、どの銘柄がいくらぐらいならお買得なのかという大まかな目安を、現在流通している代表的な10銘柄について挙げておきます。なお、特に断りのない銘柄はスタンダードものです。
Blanton 2,680円
Early Times 1,180円
Elijah Craig 2,080円
Four Roses 1,180円
I.W. Harper 1,680円
Jack Daniel 1,780円
Jim Beam 1,180円
Maker's Mark 2,080円
Old Grand Dad 114 2,680円
Wild Turkey 1,680円
これだけは言いたい
フィリップ・マーロウとギムレット
「ギムレットにはまだ早すぎるね。」
このあまりにも有名な言葉は、レイモンド・チャンドラーが世に送り出した私立探偵フィリップ・マーロウの言葉として多くのマスコミ媒体に登場しています。しかし真実は違う!!のです。
この台詞は、チャンドラーの不滅の名作「長いお別れ(The Long Goodbye)」のラストシーンに出てくるものです。しかしこれは、事件に巻き込まれて死んだと思っていたマーロウのかつての親友テリー・レノックスが、事件解決後にマーロウの事務所を訪れた時に、初めは当人と気付かなかったマーロウが次第に察してきた様子に対して、かつてよく一緒に飲んだギムレットを引き合いに出したものなのです。
それをどう取り違えたか、どの雑誌、どのテレビ番組でもマーロウの言葉として引用されています。恐らくちょっとした訳知りの一つのミスをろくに検証もせずに流用したのでしょう。ともかくこのページを見た皆さんにはぜひ真実をわかってもらいたく、あえて説明しました。でも 、世の中にこういうことってたくさんあるのでしょうね。
「ギムレットにはまだ早すぎるね。」
このあまりにも有名な言葉は、レイモンド・チャンドラーが世に送り出した私立探偵フィリップ・マーロウの言葉として多くのマスコミ媒体に登場しています。しかし真実は違う!!のです。
この台詞は、チャンドラーの不滅の名作「長いお別れ(The Long Goodbye)」のラストシーンに出てくるものです。しかしこれは、事件に巻き込まれて死んだと思っていたマーロウのかつての親友テリー・レノックスが、事件解決後にマーロウの事務所を訪れた時に、初めは当人と気付かなかったマーロウが次第に察してきた様子に対して、かつてよく一緒に飲んだギムレットを引き合いに出したものなのです。
それをどう取り違えたか、どの雑誌、どのテレビ番組でもマーロウの言葉として引用されています。恐らくちょっとした訳知りの一つのミスをろくに検証もせずに流用したのでしょう。ともかくこのページを見た皆さんにはぜひ真実をわかってもらいたく、あえて説明しました。でも 、世の中にこういうことってたくさんあるのでしょうね。